今回は、先日5/10立山自然保護センターで行われた 講演会「立山の雪」をレポートします。
講師は、飯田 肇先生です。
雪の結晶にも色々な形がある。私達がよく知っているのは雪印のマークの六角形
ですが、その他にも針のような結晶や角柱もあるんですね。
「雪は天から送られた手紙である(中谷博士)」という名言を始めて聞きました。その意味は、雪の結晶の形を決めるのは上空の温度と水蒸気の量であること。雪の結晶を見れば、その上空の様子が分かるということです。あの六角形の結晶は、ー15度で水蒸気が多いため樹の枝のように広がって成長して、あのような形になるんですね。
今度、天からの手紙が送られてくるのはいつかなぁ?
立山に積もる雪について。”雪の大谷”を見ても分かるように、立山にはたくさんの雪が積もります。では、どのくらい積もるのかというと、今年の雪の壁の最高地点は15m、最近の平均16mです。昭和56年には23mもあったそうです。では、これがどのくらいすごいかと言うと、こんな場所は世界でも滅多にありません。まさに世界有数の豪雪地帯なのです。では、立山が世界一かと言うと、”南米パアタゴニア地方”という手ごわい強敵がいるそうです。「うぅーん、では、何とか立山が世界一!というものは無いのだろうか・・・」そうですね、ありますっ! 世界一の”雪の回廊”です!”雪の大谷”こそが世界一!! こんな雪の壁の中を歩けるところなんて、世界でもここだけ!!あっぱれニッポン。
講演会の後は、先生と一緒に実際に雪の観察会へ。雪の壁には多くの情報が記憶されています。まさに「記憶装置」ともいえます。
雪の層を見てみると、薄汚れて黄土色がかった部分は黄砂が飛来してきた事を。氷の部分は暖かい日に雪が融けていた事を、それぞれ読み取ることができます。おもしろいですねぇ。
その他にも、雪の中の温度を測ったらマイナスじゃなかった?! 正解は0度。
”あられ”は、雪結晶に雲の中の水滴がぶつかって凍りついたもので、あんな形・大きさになったものだったんだ、という事を知り、驚きがいっぱいでした。
この日はちょうど嵐の翌日で「エビの尻尾」がみられました。「エビの尻尾(山岳用語)」:風の強いところでよく見られる。岩などに付着し、風上に向かってエビの尻尾のような形状に発達する霧氷の一種です。
今回、知られざる立山の自然についてたくさん勉強することができました。自然の偉大さ、自然の恵み、自然の不思議、そして近年の気候変動に伴う変化など。これからもこの美しいすばらしい自然を守っていきたいと思いました。ぜひ皆さんも、この立山の大自然を知り、体験し、感動して帰ってくださいね。
お知らせ:5月13日の立山ガイドツアー・山ガールツアーは中止します。
山ガール:なかもと めぐみ